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人権擁護活動の推進及び人権尊重思想の普及高揚に寄与します

委員活動

啓発の実効性を高め、委員が達成感を味わえる人権教室
〜「自作シナリオによるうちわ劇」の取組〜

熊本県連・山鹿協議会
近 藤 安

◆ はじめに

人権教室は人権擁護委員としての重要な活動の一つですが、実施に当たっては、試行錯誤しながら取り組んでいる協議会が多いのが実情ではないでしょうか。

私たちの協議会も同様で、内容や方法についての工夫しながら、併せて参加した委員が達成感を味わえる人権教室を目指すことになりました。

◆ 取組について

(1)人権擁護委員活動を紹介する人権教室

人権教室の方法は対象者や時と場に応じて多種多様にあり、これまでも一定の成果と実績を挙げてきたのはご存じの通りです。そこに、人権擁護委員活動への周知を図る工夫を取り入れて、啓発の実効性を高めつつ委員が達成感を味わえるようにと模索しました。

(2)うちわ劇の導入の意図と自作シナリオ

うちわ劇のヒントとなったのが、山鹿協議会管内で平成17年から開催されている「やまが人権フェスティバル」で、長年、好評を博している「自作シナリオによるうちわ劇(寸劇)」です。

うちわ劇であれば、うちわの裏にセリフが貼りつけてあるので、練習時間が少なくて済む上に、みんなに出番があるので、自信がつき、やりがいを感じることができます。経験が浅い委員でも緊張することなく、気軽に参加できます。

また、「呼びかけの啓発から、実効性ある啓発を」とよく耳にしますが、目前に「いじめ問題や不登校」などで悩み苦しんでいる子どもたちがいる現実を直視すれば、まずは救済の手を差し伸べるのが第一です。そこで、シナリオに「SOSミニレタ−での相談と人権擁護委員からの返信」を登場させることにしました。

自作シナリオを使用するため、人権教室を実施しやすい時間配分にすることができます。当協議会では、寸劇は15分程度が最善と考えています。

シナリオのあらすじは、見学旅行のグル−プづくりの様子を場面設定して、クラスの子どもたちの心の動きを考えてもらうことにしました。


啓発寸劇「一人ぼっちにしないで!」あらすじ

(登場人物は仮名)

@ 4年生の山鹿太郎は、見学旅行の班分けの時、誰も誘ってくれなかったので、仲間外れにされたと思い、不登校になる。

A 誰にも相談できず困っていた太郎は、以前もらったSOSミニレタ−を思い出し、悩みを書いて投函する。

B 太郎からの手紙を受け取った人権擁護委員は、2つの解決方法、自分で友だちに気持ちを伝える、家族や先生に相談する、を示して、楽しい学校生活が過ごせるよう見守っていることを伝える。

C 返信を見て勇気を出した太郎は、先生に自分の気持ちを伝える。先生は気づかなかったことを詫びて、クラスのみんなで話し合うことになる。

D クラスのみんながお互いの気持ちを述べ合う中で、太郎が勘違いしていたことや、友だちへのわだかまりが解消する。


SOSミニレターの返信

山鹿太郎さん、お手紙ありがとう。

私は人権擁護委員の○○と言います。

勇気を出して手紙を書いてくれたのですね。いつも仲間外れにされているみたいで、辛いですね。また、見学旅行にもみんなと楽しく参加したいですよね。

太郎さんの手紙から、お友だちと楽しく過ごしたいという、心からのメッセ−ジが強く読み取れました。

そこで、これからの学校生活を安心して、楽しく過ごすためには、何もしないでいては、今までと同じなので、次の2つのことをやってみてはどうですか。

一つは、「思い切って自分の気持ちを友だちに話してみること」です。

友だちも太郎さんの本当の気持ちが分かると、誘ってくれるかもしれないですよ。

二つめは、「今の気持ちをお家の人や先生に話して相談してみること」です。そうしたら、うまく解決してくださると思います。

でも、どうしても家の人や先生に相談ができなくて、心配や不安が残るようだったら、またミニレタ−に書いて送ってください。私たちは、太郎さんが安心して楽しく学校生活が過ごせるようになるまで、応援していきますよ。

では、お元気でね。さようなら。


(3)人権教室の展開の概要

平成24年度「思いやりの心を育む人権教室」実施計画書

1 実 施 校  山鹿市立○○小学校

2 実施日時 平成24年12月13日(木)10:50〜11:45

3 実施場所 音楽室

4 対象学年 全校児童 27名(職員同席)

5 内  容      *全体進行:子ども副委員長

(1) はじめの言葉  (子ども副委員長)

(2) あいさつ    (○○小学校長・△△支局長)

(3) 人権教室の流れ

@ 人権啓発寸劇「一人ぼっちにしないで!」(15分)

A めあて

・寸劇を見て、一人ぼっちになった人の悲しさや苦しさを感じ取り、日頃の生活の中で「思いやりの心」が実践できるようにする。

B 進め方(40分)

過 程 時 間 人権教室の内容(留意点)
導 入 4分

@ あいさつと自己紹介をする。(人KENまもるくんとあゆみちゃんの掛け合い)

A 寸劇の題とめあてを知る。(気持ちを考えてみる。)

展 開 15分

◎ 寸劇「一人ぼっちにしないで!」を視聴する。

18分

@ 4年生はどこへ行くことになり、どんな気持ちだったかを考える。

・見学旅行に行くことになり、嬉しくてウキウキしていた。

A グループ分けの時の太郎君の気持ちとその後どうなったか考える。

・誰もグループに誘ってくれなかったので悲しくなった。

・仲間外れにされたと思って学校に行くのが嫌になり欠席した。

B 太郎君は誰にも自分の気持ちを話せないで、どうしたかを考える。

・SOSミニレターに今の気持ちを書いてポストに入れた。

C 人権擁護委員さんから返事をもらい、太郎君はどうしたか話し合う。

・勇気を出して、今悩んでいることを先生に相談した。

D 郎君の気持ちをクラスみんなで考えて、どうなったか話し合う。

・みんなが、太郎君を正しく理解していなかったことに気づいた。

・太郎君の気持ちを考えていなかった。(自分勝手に思っていた。)

・太郎君は、仲間外れでなかったことが分かって勇気を出した。

まとめ 3分

◎ 一人ぼっちになった人の気持ちを理解して、これからの生活では相手のことを考えた行動(思いやりの心)ができるようにする。

*寸劇後の話し合いの担当(コーディネーター:子ども委員長)

(4)啓発グッズのプレゼント (子ども委員長)

(5)おわりの言葉

・児童の合唱(スマイル・アゲイン他)とお礼の言葉

6 参加者

○支局長、副会長、事務局長

○山鹿子ども委員 5名

○菊池子ども委員 5名


当日の流れは計画書の通りに進みました。

本協議会では、人権教室の導入を人権キャラクターの掛け合いで始めています。セリフはキャラクターの背中に貼ってあるので安心です。うちわ劇は、経験の浅い委員でもセリフに、つい力が入ります。演じる横顔からは、心地よい緊張感と達成感がうかがえました。

寸劇視聴後の「話し合い」は、子ども委員長がコ−ディネ−タ−を務めました。低学年児童にも分かりやすい内容ですので、劇の流れにそった5つの発問に対しても全学年から活発な意見が出ました。(発問は実施計画書の展開をご参照ください。)

本校は小規模校のため日頃から全校での活動が多いことや、大勢の中でも発言ができる教育を重視している成果が話し合いの場面に現れ、感銘を受けました。校長先生を始め学校を挙げて協力してくださり、学校統合を目前にして、児童一人ひとりの「心に響く人権教室」に少しではありますが貢献できたことで、委員一同の思い出に残る人権教室ともなりました。

後日学校から届いた全校児童や先生からの感想等を拝読して、初めて導入した「自作シナリオとうちわ劇の人権教室」に、手ごたえを感じたのは私だけではありませんでした。「ぼくは○○小学校でみんなと過ごして良かった。4月からは新しい友だちと一緒になりますが、太郎君のように悲しむ人がいないように気をつけます」と発表した児童の言葉が、今でも耳に強く残っています。

◆ おわりに

当協議会では、「子ども委員の誰でもできる人権教室」を目指してきました。本稿は、啓発活動の実効性を高める人権教室はどうあるべきか、併せて委員が達成感を味わえる人権教室の実施はどうあればよいか等について、試行錯誤した取組の一例です。

この寸劇では、SOSミニレタ−の活用方法と人権擁護委員の返信を紹介することで、勇気を出せば悩みの解消につながることを理解してもらい、不幸な事件の未然防止にもつなげたいと考えています。「自作シナリオによるうちわ劇(寸劇)」が万能ではないとしても、人権教室の一つのバ−ジョンとして、ご参考になれば幸いです。

この取組は、昨年は2回の実践でしたが、本年7月2日に全校児童87名の小学校でも実施しました。寸劇視聴は全学年一緒に行い、事後の話し合いは低学年・高学年に分かれて実施し、学校からも好評を得ました。また、実施校にいらした先生から、転任先の学校でも「うちわ劇の人権教室」を実施してほしいとの要請をいただき、子ども委員の励みとなっています。ますます磨きをかけていきたいと意気込んでいるところです。



活動報告 本 文 啓発の実効性を高め、委員が達成感を味わえる人権教室
〜「自作シナリオによるうちわ劇」の取組〜

活動報告 資料1 シナリオの一部抜粋:「SOSミニレターを読んだ人権擁護委員さんからの返事」

活動報告 資料2 ステージ発表:人権教室実施計画書

活動報告 資料3 人権教室スナップ風景

活動報告 資料4 自作シナリオ:「一人ぼっちにしないで!」



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